平成18年度 問題2

次の対話は、建物に関する教授と学生との対話である。教授の質問に対する次のアからオまでの学生の解答のうち、判例の趣旨に照らし誤っているものの組合せは、後記1から5までのうちどれか。

 

教授: 物には不動産と動産とがありますが、建築中の建物は、どのように扱われますか。

 

学生:ア 土地の定着物ですから不動産に当たりますが、基礎工事の段階では土地の一部と扱われるのに対し、屋根や壁ができて建物とみられる段階に至ると、土地とは別の不動産と扱われます。

 

教授: 一棟の建物の一部について取得時効は成立しますか。

 

学生:イ 一棟の土地の一部について取得時効が認められるのと同様に、一棟の建物の一部についても、その部分が区分建物としての独立性を備えているか否かにかかわらず、取得時効の成立が認められます。

 

教授: 賃貸物件として使用されている建物に抵当権が設定された場合、抵当権者は、建物の賃料から優先弁済を受けることができますか。

 

学生:ウ 賃料債権も物上代位の対象になりますから、抵当権者は、被担保債権の債務不履行後に、賃料債権に対する物上代位権を行使することによって賃料から優先弁済を受けることができます。

 

教授: 借地上の建物に設定されていた抵当権が実行されて、買受人が建物の所有権を取得した場合、借地権はどうなりますか。

 

学生:エ 借地権は建物の所有権とは別個の権利ですので、借地権は買受人に移転しません。

 

教授: 建物の所有者が移築を目的として当該建物を解体した場合には、その建物に設定されていた抵当権はどうなりますか。

 

学生:オ 解体された建物は不動産でなくなりますから、当該建物に設定されていた抵当権は消滅することになります。

 

 

1 アイ   2 アオ   3 イエ   4 ウエ   5 ウオ

 

 

正解 3

ア 〇

不動産とは、土地及びその定着物をいう。

建物を新築する場合、建物がその目的とする使用に適当な構成部分を具備する程度に達していない限り、いまだ完成した建物ということはできないが、建物として不動産登記法により登記することができるためには、それが完成した建物である必要はなく、工事中の建物であっても、既に屋根と周壁を有し、土地に定着した一個の構造物として存在すれば足りるのであって、床や天井を備えている必要はない。

 

イ ×

一筆の土地の一部であっても取得時効の対象となりうる。一方、一棟の建物の一部については、その部分が区分建物としての独立性を備えていなければ、一部について取得時効の成立は認められない。

 

ウ 〇

抵当権の物上代位の対象となる債権には、抵当不動産の賃料債権が含まれる。

 

エ ×

建物に抵当権を設定した場合には、その敷地利用権にも抵当権の効力が及ぶ。

 

オ 〇

抵当権は物権であるため、客体である物が消滅することで、抵当権は消滅する。