不動産の表示に関する登記について

【行政書士西尾真一事務所】

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表示に関する登記のはたらき

不動産登記は、土地や建物の権利関係(誰が所有者であるか、あるいは、不動産に抵当権が設定されているかどうか)についての情報を提供するだけでなく、その不動産がどのような物理的・外形的な状況にあるかについての情報も提供しています。

 

つまり、不動産の住所や建物の構造についての情報を提供します。

 

不動産の物理的・外形的な状況については、登記記録のうち「表題部」と呼ばれる部分に記録されます。これを「表示に関する登記」といいます。表示に関する登記には、大きく分けて報告的登記と形成的登記の2つの機能があります。

 

報告的登記について

表示に関する登記のうち、不動産の物理的・外形的な状況に変化が生じた場合に、登記記録を、現在の変化した状況に一致させるための登記のことを報告的登記といいます。

 

具体的には、埋め立て等により新たに土地が生じた場合や、マイホームを新築した場合などに登記を作成する「表題登記」、畑を宅地へと変更した場合などに行う「土地地目変更登記」や、増改築より建物の種類や構造、床面積に変更が生じた場合の「建物表題部変更登記」、建物を取り壊した場合に行う「建物滅失登記」などがこれに該当します。

 

報告的登記は、不動産の現況を適正かつ迅速に公示することにより取引の安全を図ることを目的とするものであることから、所有者等には一定の期間内に登記を申請する義務が課せられています。

 

形成的登記について

形成的登記とは、不動産の物理的・外形的な状況には変化はありませんが、登記をすることにより、登記記録上の不動産に変化を生じさせる登記のことをいいます。

 

所有者の意思に基づくものであることから創設的登記とも呼ばれています。

 

具体的には、一筆の土地を複数に分ける「分筆登記」や、数筆の土地を一筆とする「合筆登記」、別個の建物として登記されている数個の建物を一個の建物とする「建物合併登記」、その逆で1つの登記記録に登記されている主である建物と附属建物を分割し、附属建物を独立した別個の建物とする「建物分割登記」が挙げられます。

 

報告的登記とは異なり、形成的登記は原則として登記官は職権では登記することはできず、所有者等に、申請義務は課せられていません。

 

土地の表示に関する登記

土地に関する表示の登記にもいろいろありますが、具体例としては、

 

埋め立てや国有地の払い下げによって、土地を取得した場合、その土地の表示に関する登記がないので、「表題登記」という登記を申請する必要があります。表題登記とは、表示に関する登記のうち、その不動産について表題部に最初になされる登記のことです。

 

土地の表示に関する登記には、次のような事項が登記されます。

 

【所在欄】

その土地がどこに所在しているかを示すのが「所在」です。

登記事項証明書の表題部の上のほうの左側にあります。

ここには、、たとえば「東京都〇〇区△△町×丁目」、「北海道〇〇市△△町」というようにその土地のだいたいの所在場所が記載されています。

 

 

【地番欄】

その土地と別の土地を区別するためにつけられているゼッケンともいえる番号が「地番」欄に記録されています。地番は一定の区域ごとに、一番、二番、三番・・というように順次、一筆の土地単位でつけられていきます。

 

そのため、分筆(一筆の土地を複数の土地に分割すること)や合筆(複数の土地を一筆の土地に合体させること)、さらには、区画整理があると、当然のことながら地番は変更されることになります。

 

【地目欄】

 その土地が利用されている用途を示すのが「地目」です。登記簿に記録される地目は全部で21種類ありますが、地番と同じように申請人が勝手に決定することはできません。

 

地目については、行政内部で21種類の中からどれを選ぶかの認定基準が定められていて、それに従って決められています。

 

もちろん、畑に使用していた土地について、住宅を建てるために用途を変更するなど、地目の変更も認められています。

 

【地積欄】

土地の面積を地積といって、「地積」欄に記録がなされます。

ただ、登記記録に記録されている地積は正確な面積を表しているとは限りません。

 

ですから、土地を売買するときに面積を基準にして代金を決定する場合には、登記記録に記録されている地積を基準にすると後でトラブルになる可能性があります。面倒でも実際に測量したほうがよいでしょう。

 

【その他】

表題部には、所有者の住所・氏名(共有の場合は持分も)や登記の原因と日付、登記の年月日なども記載されています。

 

地目または地積に変更があった場合には、その旨の変更登記をしなければなりません。

 

また、一筆の土地が分割された場合には分筆登記、数筆の土地がまとまって1個の土地になった場合には合筆登記を行います。

 

建物の表示に関する登記

建物の場合、新築から1か月以内に「表題登記」を申請しなければなりません。

 

建物は所有者しだいで、増改築によってその状況が変更されます。その場合は、表示の変更登記を申請します。

 

A建物に附属している建物を分割して登記簿上別個独立のB建物としたい場合は「分割登記」をします。

 

逆に、別個のC建物とD建物を登記簿上1つの建物としたい場合は「合併登記」をします。

 

1棟のA建物を構造上独立した複数の建物(B建物とC建物)に分けた場合は「分棟登記」、逆に複数の独立したD建物とE建物が構造上1つのF建物になった場合は「合体登記」がなされます。

 

老朽化や災害によって建物としての使用に耐えられなくなったときには、「滅失登記」をすることが義務づけられています。

 

建物の表示に関する登記には、次のような事項が登記されます。

 

【所在欄】

土地の場合と異なり、建物の場合は「所在」に市、区、郡、町、村および字に加えて、土地の地番まで記録されています。

 

なお、複数の土地の上に一軒の建物が建っているときには、所在欄はどうなるのでしょうか。たとえば、地番〇番と△番の土地の上に一軒の建物が建っている場合です。

その場合は、面積が広い土地の方から順番に複数の地番が記録されることになっています。

 

さらに、所在欄に「〇番地先」という表示がなされていることがたまにあります。これは、その建物の建っている土地に地番がないことを意味しています。

 

そのため、同じ地番区域で敷地と隣接している土地の地番(〇番地)を使用して所在を表しているのです。

 

 

 【家屋番号欄】

建物の表題部には、その建物と他の建物の区別をつけるため「家屋番号」が記録されています。

 

建物の場合は、所在欄に記録されている敷地の地番と家屋番号欄に記録されている家屋番号によって、物件の特定がなされることになります。

 

一筆の土地に複数の建物が建っていることもあり、その場合は、「〇番〇の1」、「〇番〇の2」などと枝番によって区別します。

 

 

【種類欄】

「種類」は建物の用途を示すものです。居宅、共同住宅、事務所、店舗、工場、作業場などの種類があり、種類の決定は行政内部の基準に沿って決定されていますが、閲覧する人の便宜を考慮してかなり多くの種類に細かく分類されています。

 

また、形態の違いだけではなく、大小の違いによっても、工場と作業場、倉庫と物置といったように細かく分けられています。

 

さらに、1階は作業場で2階から上は住まいに使用されている建物もよくありますが、そのような場合は、「居宅・作業場」といった並列の記録もなされています。

 

 

 【構造欄】

建物が何でできていて何階建てかは重要なことです。

構造欄では、建物の主要な構成材料と屋根の種類、階数が記録されています。たとえば、「木造瓦葺2階建」などです。

 

 

 【床面積欄】

土地の地積は1つしかありませんが、建物は平家建てでもない限り各階ごとに複数の床面積がありえます。

各階の床面積がどれほどあるのかは、建物の要素として重要です。そこで、建物の場合は、各階ごとに床面積を表示しています。

 

「床面積」については、床面積を平方メートルで表示しています。

 

 

【その他】

土地の表題部と同様に、所有者の住所・氏名や登記の原因と日付、登記の年月日なども記録されています。また、車庫や物置のように主たる建物に附属した建築物が「附属建物」として記録されている場合もあります。