平成27年度 問題19

次の対話は、A所有の甲土地とB所有の乙土地との間の境界についての紛争が生じた事例に関する教授と学生との対話である。教授の質問に対する次のアからオまでの学生の解答のうち、正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。

 

 

教授:Aが甲土地を売却するために地積の更正の登記の申請を予定していたところ、隣接する乙土地との間で境界紛争が生じた事例について考えてみましょう。

 まず、AとBは、和解契約によって甲土地と乙土地との間の筆界を確定することができますか。

 

学生:ア AとBは、甲土地と乙土地の所有権の範囲を和解契約によって確定することができるのと同様に、筆界についても、和解契約によって確定することができます。

 

教授:次に、Aが筆界特定の申請をする場合について考えてみましょう。

 筆界特定について必要な事実の調査は筆界調査委員が行いますが、どのような者が筆界調査委員に任命されますか。

 

学生:イ 筆界調査委員は、職務を行うのに必要な専門的知識及び経験を有する者のうちから、法務局又は地方法務局の長が任命するものとされており、土地家屋調査士が任命されることもあります。

 

教授:Aからの筆界特定の申請に基づき筆界特定登記官が特定した筆界が、Aが意図していた筆界と異なっていた場合には、Aは、それを不服として審査請求をすることができますか。

 

学生:ウ 筆界特定登記官が行う筆界特定には行政処分としての法的効力は付与されておらず、登記官の処分ではありませんので、Aは、審査請求をすることはできません。

 

教授:では、甲土地と乙土地との間の筆界が特定された場合には、登記官は、その結果に基づき、職権で地積の更正の登記、地図の訂正等の措置をとることができますか。

 

学生:エ 筆界特定の結果に基づき、職権で地積の更正の登記、地図の訂正等の措置をとることができるのは、筆界特定登記官に限られますので、筆界特定登記官でない登記官はそれらの措置をとることができません。

 

教授:最後に、AがBに対して、甲土地と乙土地との間の筆界について筆界確定訴訟を提起し、その確定判決を得た場合において、Bは、その判決内容を不服として、筆界特定の申請をすることができますか。

 

学生:オ 筆界確定訴訟は、登記所の手続きとは別個のものですので、Aが甲土地と乙土地との間の筆界について筆界確定訴訟の確定判決を得た場合であっても、Bは、甲土地と乙土地との間の筆界について、別途、筆界確定の申請をすることができます。

 

 

1 アウ   2 アエ   3 イウ   4 イオ   5 エオ

 

 

 

平成27年度 問題19 解説

正解 3