令和2年度 問題16

合体後の建物についての建物の表題登記及び合体前の建物についての建物の表題部の登記の抹消(以下「合体による登記等」という。)に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。

 

ア 所有権の登記名義人が異なる数個の建物を合体したことによる合体による登記等を申請する場合において、合体前の一部の建物にされた抵当権の登記で合体後の建物に存在することとなるものがあるときは、当該抵当権の登記名義人が合体後の建物の持分について存続登記と同一の登記をすることを承諾したことを証する情報又は抵当権者に対抗することができる裁判があったことを証する情報を提供しなければならない。

 

イ 合体前の各建物の所有者全員について合体後の建物について有する持分の割合を定める必要がある場合において、当該所有者全員が、書面申請の方法により、建物の合体による登記等を申請する際に、申請情報と併せてその印鑑に関する証明書を提供したときは、当該申請情報をもって、当該持分の割合を証する情報を兼ねることができる。

 

ウ いずれも所有権の登記がある二個の建物が合体した場合には、当該合体後の建物についての建物の表題登記及び当該合体前の建物についての建物の表題部の登記の抹消と併せて、当該合体後の建物についての所有権の登記を申請しなければならない。

 

エ 合体前の各建物に同一の賃借権の設定の登記がされている場合、合体後の建物に存続することとなるものとして、当該賃借権の表示を申請情報の内容としなければならない。

 

オ 登記名義人が同一である所有権の登記がある建物の合体による登記等を申請する場合には、当該合体に係る建物のうちいずれか1個の建物の所有権の登記名義人の登記識別情報を提供すれば足りる。

 

 

 

1 アイ   2 アオ   3 イウ   4 ウエ   5 エオ

 

 

正解 4

ア 〇

合体前の建物についてされた所有権の登記以外の所有権に関する登記又は先取特権、質権若しくは抵当権に関する登記であって合体後の建物について存続することとなるものを「存続登記」というが、合体後の建物の持分について存続登記と同一の登記をするときは、当該存続登記に係る権利の登記名義人が当該登記を承諾したことを証する当該登記名義人が作成した情報又は当該登記名義人に対抗することができる裁判があったことを証する情報を提供しなければならない。

 

イ 〇

合体前の各建物の所有者全員が申請人である場合には、申請書が持分の割合を証する書面を兼ねるので、申請書に印鑑証明書の添付があることをもって足りることとされている。

 

ウ ×

合体による登記等の申請と併せて所有権の登記を申請しなければならないのは、所有権の登記がある建物と所有権の登記がない建物(表題登記がない建物又は表題登記のみされた建物)とが合体した場合である。

 

エ ×

合体後の建物において、共有持分を目的とする賃借権の登記や建物の一部を目的とする賃借権の登記をすることは認められていない。

また、合体前の各建物の所有者が同一で、すべての建物に登記名義人が同一の賃借権の設定の登記がされている場合であっても、合体後の建物の登記記録に移記することはできないとされている。

 

オ 〇

登記名義人が同一である所有権の登記がある建物の合体のよる登記等を申請する場合は、当該合体に係る建物のうちいずれか1個の建物の所有権の登記名義人の登記識別情報を提供すれば足りるものとされている。