サブリース方式による賃貸住宅経営について

【行政書士西尾真一事務所】

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サブリース方式とは

サブリース方式は、サブリース業者が賃貸人(所有者)から賃貸住宅を借り受け、賃貸人(所有者)の承諾を得て、サブリース業者自らが転貸人となって賃貸住宅を第三者に転貸する事業形態です。

 

転借人と賃貸人(所有者)との間には契約関係は生じません。

 

サブリース方式によって、賃貸人は効率的に専門的な賃貸住宅経営を行うことができるとともに、空室リスクや賃料下落リスクを軽減することができます。

 

また、サブリース業者としても、自らが資金調達することなく土地の取得や建物の建築を行うことなどにより、賃貸事業を行うことができるメリットがあります。

 

管理受託方式の場合、管理業者は賃貸人から委託を受けて賃貸住宅を管理することになりますが、サブリース方式の場合は、サブリース業者が賃貸人・転借人それぞれに対して契約当事者となって責任を負うという特色があります。

 

原賃貸借契約(マスターリース契約)について

サブリース業者は、原賃貸人(建物の所有者である場合が多い)との間で賃貸借契約を締結するため、原賃貸人との関係では賃借人の地位に立ちます。

 

両者の関係は、転貸の承諾がなされている点を除けば、転貸借を伴わない通常の賃貸借と異なるところはありません。

 

原賃貸人は、転借人に対しても権利行使することができますが、その場合でも、賃借人に対する権利行使が妨げられることはありません。

 

サブリース業者が原賃貸人との関係で賃借人の立場に立つことから、転借人はサブリース業者の履行補助者となります。そのため、転借人の故意・過失はサブリース業者の故意・過失とと同視され、転借人が過失に基づき賃貸物件を棄損した場合、原賃貸人との関係ではサブリース業者が責任を負います。

 

また、転貸借がある場合の原賃貸借契約における正当事由の判断にあたっては、転借人の事情が考慮されます。

 

賃貸住宅管理業法では、原賃貸人とサブリース業者との賃貸借を特定賃貸借契約、サブリース業者を特定転貸事業者としたうえで、特定賃貸借契約の締結前の書面の交付と特定賃貸借契約の締結時の書面の交付について定めを設けています。

 

転貸人(転貸人兼賃借人)と転借人との関係

サブリース方式においては、サブリース業者が賃貸人(転貸人)となり、入居者が賃借人(転借人)となって、両者間で転貸借契約が締結されます。

 

そして、サブリース業者は、転借人に対して、賃貸借契約(転貸借契約)に基づいて、直接の権利と義務を有することになります。

 

転貸借契約も、通常の賃貸借契約と異なるところはありませんが、以下のような特色があります。

 

①転借人が原賃貸人に対して直接義務を負うので、転借人が原賃貸人に対して義務を履行すれば、その限度で転貸人に対する義務を免れます。

 

②原賃貸借契約が賃借人の債務不履行により解除され終了した場合、転貸借契約は、原賃貸人が転借人に対して賃貸物件の返還を請求したときに、転貸人の転借人に対する債務の履行不能により終了します。

 

③原賃貸人と賃借人(転貸人)間に紛争がある場合には、転借人は債権者を確知できないことを理由として、賃料を供託することができる場合があります。