令和2年度 問題3

相隣関係に関する次のアからオまでの記述のうち、判例の趣旨に照らし正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。

 

ア 他の土地に囲まれて公道に通じない土地(以下「袋地」という。)の譲受人は、袋地について所有権の移転の登記を経由しなくても、その袋地を囲んでいる他の土地(以下「囲繞地」という。)の所有者に対して、公道に至るため、囲繞地を通行することができる権利(以下「囲繞地通行権」という。)を主張することができる。

 

イ 他の土地及び水路によって囲まれており、水路を通行すれば公道に至ることができる土地の所有者は、公道に至るため、当該他の土地を通行することはできない。

 

ウ 自動車による通行を前提とする囲繞地通行権は、囲繞地の所有者の承諾がなければ成立しない。

 

エ 囲繞地について囲繞地通行権を有する袋地の所有者が、囲繞地に通路を開設するためには、囲繞地の所有者の承諾を要する。

 

オ 共有物の分割によって袋地を生じた場合に、袋地の所有者が、公道に至るため、他の分割者の所有する土地について有する通行権は、当該他の分割者の所有する土地に特定承継が生じた場合であっても、消滅しない。

 

 

1 アイ   2 アオ   3 イウ   4 ウエ   5 エオ

 

 

正解 2

ア 〇

囲繞地通行権は、相隣する土地について相互利用を調節することを目的とするものであり、不動産取引の安全保護を図るための公示制度とは関係がない。袋地の所有権を取得した者は、対抗要件を具備することなく囲繞地通行権を主張することができる。

 

イ ×

袋地の所有者は、公道に至るため、その土地を囲んでいる他の土地を通行することができるが、池沼、河川、水路若しくは海を通らなければ公道に至ることができないとき、又は崖があって土地と公道とに著しい高低差があるときも同様である。

 

ウ ×

判例は、自動車による通行を前提とする囲繞地通行権も成立し得るとしている。

 

エ ×

囲繞地通行権を有する者は、必要があるときは、通路を開設することができるが、他の土地の所有者等の承諾を得ることは要件とされていない。

 

オ 〇

共有物の分割によって袋地が生じたときは、他の分割者の所有地について特定承継が生じた場合にも消滅するものではなく、袋地所有者は、残余地以外の囲繞地を通行することができるものではない。