平成30年度 問題15

建物の分割の登記に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組み合せは後記1から5までのうち、どれか。

 

 

ア 主である建物と附属建物との間に道路が築造されたときは、登記官は、その建物の分割の登記を職権ですることができる。

 

イ 共用部分である旨の登記がある建物であっても、建物の分割の登記をすることができる。

 

ウ 甲建物の附属建物を分割して乙建物とする建物の分割の登記を申請する場合において、甲建物を増築したことにより床面積の変更が生じているときは、当該増築による表題部の変更の登記と当該建物の分割の登記とを一の申請情報によって申請することができる。

 

エ 抵当権の設定の登記がされている甲建物から、その附属建物を分割して乙建物とする建物の分割の登記をする場合において、分割後の甲建物について当該抵当権を消滅させるときは、当該抵当権の登記名義人がその消滅を承諾したことを証する情報及び登記識別情報を提供しなければならない。

 

オ 甲建物について所有権の登記がされた後、附属建物を新築したことによる甲建物の表題部の変更の登記がされている場合において、その附属建物を分割して乙建物とする建物の分割の登記の申請をしたときは、申請人があらかじめ登記識別情報の通知を希望しない旨の申出をしない限り、分割後の乙建物についての登記識別情報が通知される。

 

 

1 アイ   2 アオ   3 イウ   4 ウエ   5 エオ

 

 

 

平成30年度 問題15 解説

正解 3

ア ×

建物分割登記は土地分筆登記と同様、所有者の意思に基づいて新しい建物(登記記録)を作成することから、形成的登記となる。また、主である建物と附属建物が国道を隔てているなど、地理的に離れている場合であっても、効用上一体として利用されていれば、1個の建物として取り扱われるため、本肢のような職権登記がされることはない。

 

イ ○

共用部分である旨の登記がある建物であっても、建物の分割の登記をすることができる。なお、建物の合併の登記はすることはできない。

 

ウ ○

同一の建物についてする二以上の登記が、建物の表題部の変更の登記または更正の登記および分割の登記、区分の登記若しくは合併の登記であるときは、一の申請情報ですることができる。

 

エ ×

所有権以外の権利に関する登記(所有権移転仮登記、買戻権、抵当権、根抵当権、地上権、先取特権、地役権、永小作権、賃借権など)のある建物を分割する場合、権利者が分割後の1個を除いた他の建物につき、当該所有権以外の権利に関する登記の消滅を証する書面(消滅承諾書)を添付して分割することで、分割後の1個のみ所有権以外の権利に関する登記を存続させ、他の建物の所有権以外の権利に関する登記を消滅させることができる。ただし、本肢のように登記識別情報の提供は要しない。

 

オ ×

登記官は、申請人が自ら登記名義人となる場合の登記を完了したときは、速やかに、当該申請人に対して登記識別情報を通知しなければならない。不動産の表示に関する登記では、、所有権の登記がある土地の合筆、建物の合体、建物の合併登記が完了したときに通知される。本肢のような分割の登記が完了しても登記識別情報は通知されない。