令和2年度 問題4

申請人Aが土地家屋調査士Bに対して土地の合筆の登記の申請を委任し、A作成の委任状には委任事項として、「土地の合筆申請に関する一切の権限」とのみ記載されている。BがAを代理して土地の合筆の登記を申請するに際し、この委任状を代理権を証する情報として提供した場合におけるBの権限に関する次のアからオまでの記述のうち正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。なお、いすれの場合もBはAから特別の委任を受けていないものとする。

 

ア Bは、土地の合筆の登記を申請した後にAが登記申請意思を撤回した場合、当該申請を取り下げることはできない。

 

イ Bは、土地の合筆の登記の申請の際に納付した登録免許税に過誤納があった場合、その還付金を受領することができない。

 

ウ Bは、電子申請の方法により、土地の合筆の登記を申請する場合、添付情報として、登記識別情報を提供することができる。

 

エ Bは、電子申請の方法により、土地の合筆の登記を申請し、当該登記が完了した場合、Bの使用に係る電子計算機に備え付けられたファイルに記録する方法で、登記識別情報の通知を受けることができる。

 

オ Bは、土地の合筆の登記を申請した後、当該申請が却下された場合、却下処分に対し、Aの代理人として審査請求をすることができる。

 

 

1 アイ   2 アウ   3 イエ   4 ウオ   5 エオ

 

 

正解 1

ア 〇

登記申請の取下げには、欠缺補正のための取下げと申請を中止するための取下げがある。申請代理人が取下げをする場合には、その理由が申請の欠缺補正のためのものであるときは、特別の授権を要しないが、中止するためのものであるときは、特別の授権を要し、取下げに関する委任状を添付しなければならない。

 

イ 〇

登記を受けた者は、納付した登録免許税の過誤納があったときは、登記官に対し納税地の所轄税務署長に還付の通知をすべき旨を請求することができる。そして、この通知を受けた税務署長から、登録免許税の還付がなされることになるので、還付金の受領は、土地の合筆の登記の申請の代理人の権限外の行為となる。

 

ウ ×、 エ ×

代理人として電子申請をする者が、申請人から登記識別情報を知ることを特に許されている場合は、登記識別情報の提供及び受領に係るファイルには、申請人本人の電子署名が不要とされ、代理人の電子署名がされていれば足りることとされている。

この方法により登記識別情報を提供するときは、代理人の権限を証する情報に「登記識別情報の暗号化に関する一切の権限」の委任条項が必要であり、また、この方法により登記識別情報を受領するときは、代理人の権限を証する情報に「登記識別情報の復号に関する一切の権限」の委任条項が必要である。

 

オ ×

調査士は、不動産の表示に関する登記の申請手続に関する審査請求の手続についての代理を業とすることができるが、これは、土地の合筆の登記の申請の代理人の権限外の行為となる。