平成18年度 問題3

相続が関係する物権変動に関する次のアからオまでの記述のうち、判例の趣旨に照らし正しいものの組合せは、後記1から5までのうちどれか(なお、DはBに対する関係で背信的悪意者に当たらないものとする。)。

 

ア Aがその所有する土地をBに譲渡したが、その旨の登記をしないまま死亡し、Aを相続したCがその土地について相続登記をしてこれをDに譲渡し、その旨を登記した場合、Bは、Dに対し、土地所有権の取得を対抗することができる。

 

イ Aが死亡し、BとCがAを共同相続したが、Cが、Aの所有していた土地について、勝手に、Cが単独で取得する旨の相続登記をしてこれをDに譲渡し、その旨の登記をした場合、Bは、Dに対し、相続分に応じた土地持分の取得を対抗することができる。

 

ウ Aが死亡した後、その法定相続人であるBとCのうちCが適法に相続を放棄したが、Aの所有していた土地について、この放棄を前提とする相続登記がされる前に、Cの債権者Dが代位によりBとCを共同相続人とする相続登記をし、C名義の土地持分を差し押さえた場合、Bは、Dに対し、当該土地持分の取得を対抗することができる。

 

エ Aがその所有する土地をBに遺贈する旨の遺言をした後に死亡したが、Bがこれに基づく登記をしない間に、Aを相続したCの債権者Dが代位によりその土地について相続登記をしてこれを差し押さえた場合、Bは、Dに対し、土地所有権の取得を対抗することができる。

 

オ Aが死亡し、その共同相続人であるBとCとの間でAの所有していた土地をBが単独で相続する旨の遺産分割協議が成立したが、その土地について、Bが遺産分割協議を前提とする相続登記をする前に、CがBとCを共同相続人とする相続登記をし、C名義の土地持分をDに譲渡し、その旨の登記をした場合、Bは、Dに対し、当該土地持分の取得を対抗することができる。

 

 

1 アエ   2 アオ   3 イウ   4 イオ   ウエ

 

 

正解 3

ア ×

被相続人からの譲受人は、相続人に対しては登記なくして不動産の所有権を主張することができる。これは、相続人は被相続人を包括承継するので、相続人と被相続人を同一人とみなし、譲受人との関係は、当事者の関係となり、対抗関係ではないと考えられるからである。

一方、生前の被相続人からの譲受人と、相続人からの譲受人とは、対抗関係になる。

 

イ 〇

甲土地の所有者Aが死亡し、BCが共同相続したが、Cが無断で甲土地全部を自分が相続したように登記し、Dに譲渡し登記した場合。Cの持分についてはDが優先するが、共同相続人には持分以上の権利はなく、Bの持分については単なる無断権利者による譲渡とされ、BはDに対して登記なく対抗することができる。

 

ウ 〇

相続放棄については、遺産分割と異なり、第三者保護の規定がない。また、相続放棄の有無は家庭裁判所で調査することができ、かつ、相続放棄の期間が限定されているので、第三者保護の要請が小さい。さらに、相続放棄があったからといって遺産分割が終了する前に登記を要求するのは、費用の面でも負担が大きい。

したがって、相続の放棄は、登記がなくても、その効力を第三者に対抗することができる。

 

エ ×

特定遺贈の場合には、第三者との関係は対抗関係になる。よって、第三者に対抗するためには、登記が必要となる。

 

オ ×

Aの不動産を共同相続したBとCが遺産分割を行い、Bの単独所有となった後、CがCの持分をDに譲渡した場合、BとDは、対抗関係に立つ。なぜなら、遺産分割によりCの持分はBに移転し、Cを起点として、C→B、C→Dの二重譲渡があったものと構成することができるからである。

したがって、Bは、Cの持分については、登記なくしてDに対抗できない。