土地家屋調査士試験は、試験時間が2時間30分。その時間で20問の択一式と2問の記述式を解かなければなりません。
択一式と記述式のそれぞれの時間配分は決められていないため、各自の時間配分で解けばいいのですが、よくあるパターンが択一式のマークシートに時間をかけ過ぎ、記述式を最後まで解く時間がなくなるというものです。
私自身、土地家屋調査士試験を受験し、合格しておりますが、本当に2時間30分ギリギリでした。
試験の得点の配分についても、記述式問題の得点は重要で、国家試験の中には、択一式のマークシートのみという試験が多いです。(宅地建物取引士、マンション管理士など)、記述式が一部ある場合(行政書士など)でもメインは択一の得点です。
しかし、土地家屋調査士試験については、択一と記述の配点は半々で、それぞれ50点、合計100点になっております。
また、択一・記述それぞれの問題の得点に基準点(足切り点)があり、いずれか一方がその得点を下回ると、それだけで不合格になってしまいます。
土地家屋調査士試験午後試験の過去問を、こちらのサイトからダウンロードが可能です。特に記述式の問題については、近年の問題は資料のボリュームが増え、正解を判断するのに時間がかかるかもしれません。
しかし、過去の問題にくらべ、求める座標値の数は少なく、計算についてもそれほど難解な問題はないと思います。
土地と建物の2問ある記述式の問題で、特に土地に関する問題を解く方法として、複素数を使用することは、欠かせない計算法だと思います。
複素数とは、実数と虚数iを組み合わせたもので「○○+○○i」の形式で表現されます。
土地家屋調査士試験では、2点間の距離、面積、交点計算などを計算できます。その際、各座標から求めるのですが、複素数はたいへん活躍します。
複素数は、(X、Y)座標を1つの数にしてまとめて計算するため、電卓を打つ回数が、通常計算より圧倒的に少なくてすみます。電卓を打つ回数が少なくなれば、必然的に計算時間が短くなり、打ちミスをする可能性も少なくなり、正確性が増します。
土地家屋調査士試験は、回答スピードが求められる難易度が高い試験です。そのため、絶対に複素数を使用して計算することをお勧めします。
複素数を使用して計算するのに、複素数の概念をきちんと理解して、問題を解く必要はありません。あくまで、複素数計算は、関数電卓の複素数機能という便利な機能を使い、効率よく、短時間に計算するテクニックだと思ってください。
関数電卓で効率よく計算するためには、メモリーを上手に利用することが必要です。
関数電卓が扱うことが出来るメモリーの数ですが、私が使用していた「CASIO fx-JP500」では、A~F、X、Y、Mの9つのメモリーが可能です。
試験では、面積や辺長を出すための座標が6つくらいあり、この座標値を複素数でX座標とY座標を一つの情報にすることで、ほぼすべての座標値を複素数としてメモリーに記憶することができます。
そして、メモリーに記憶した複素数の座標値を、そのまま座標計算することができるコマンドが関数電卓には用意されており、それを利用することで効率よく正確に計算することができます。
関数電卓の便利機能である複素数コマンドをいくつか紹介します。
・面積を算出するコマンド(共役複素数~Conjg)
・距離を算出するコマンド(絶対値~Abs)
・角度を算出するコマンド(偏角~arg)
・座標を算出するコマンド(X座標+Y座標i+距離∠角度)
土地家屋調査士試験を受験するにあたり、用意する関数電卓は、複素数の計算ができるものであれば、どの関数電卓でも構いません。
ただし、プログラム機能を有している関数電卓やアルファベットやカナ文字が入力できる関数電卓を試験中には使用できません。
使用する関数電卓は、試験に使用できるか、必ず法務省の調査士試験の概要から確認してください。
私が使用していたのは、「CASIO fxーjp500」でした。
この後の解説も、この機種を使用して説明していきます。
関数電卓を通常の計算モードから複素数モードへ切り替えます。
複素数モードの関数電卓であっても、通常の計算を不自由なく行うことができます。
建物の床面積計算なども、複素数モードのままで計算できます。
関数電卓の操作は、
「MENU」を押し、次に「2」を押します。
複素数モードになると、電卓の画面の上部に「i」が表示されます。
関数電卓のキーの中の紫色で表示されているキーが複素数モードで使用できるキーであり、「ENG」を押すと、「i」が表示されます。