令和2年度 問題17

建物の滅失の登記に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。

 

ア 敷地権の登記がされた後に抵当権の設定の登記がされた区分建物について滅失の登記を申請する場合において、申請情報と併せて、当該抵当権の登記名義人が敷地権の目的である土地について抵当権を消滅させることを承諾したことを証する情報が提供されたときは、建物の登記記録に、その土地について抵当権が消滅した旨が記録される。

 

イ 建物の滅失の登記の申請情報及びその添付情報は、受付の日から30年間保存される。

 

ウ 焼失した建物に所有権移転の仮登記がされている場合において、当該仮登記の登記名義人は、消防署の焼失の証明書及び所有権の登記名義人の承諾を証する情報を提供すれば、当該建物の滅失の登記の申請をすることができる。

 

エ 建物の所有権の登記名義人が死亡した後に当該建物が滅失した場合、その相続人は、相続による所有権移転の登記を行った後でなければ、当該建物の滅失の登記を申請することができない。

 

オ 所有者が異なる数個の区分建物が属する一棟の建物が滅失した場合において、一棟の建物の滅失の登記の申請は、区分建物の所有者の一人からすることができる。

 

 

1 アイ   2 アエ   3 イオ   4 ウエ   5 ウオ

 

 

正解 4

ア 〇

敷地権の登記がされた後にされた抵当権の設定の登記は、敷地権の所有権又は地上権であれば、原則として、敷地権についてされた登記としての効力を有する登記、すなわち、特定登記になる。

そして、登記官は、敷地権付き区分建物のうち特定登記があるものについて、建物の滅失登記をする場合において、当該建物の滅失の登記の申請情報と併せて特定登記に係る権利の登記名義人が、当該建物の滅失の登記後の当該敷地権の目的であった土地について当該特定登記に係る権利を消滅させることを承諾したことを証する情報を提供したときは、当該土地について当該特定登記に係る権利が消滅した旨を登記しなければならないとされており、この場合には、当該建物の登記記録についてされている当該特定登記に、当該特定登記に係る権利が当該土地について消滅した旨を付記登記によってするものとし、当該消滅した権利に係る権利に関する登記を土地の登記記録に転写することを要しないとされている。

 

イ 〇

表示に関する登記の申請情報及びその添付情報は、受付の日から30年間保存することとされている。

 

ウ ×

建物が滅失したときは、表題部所有者又は所有権の登記名義人から当該建物の滅失の登記を申請しなければならない。

 

エ ×

建物の所有権の登記名義人が死亡した後に当該建物が滅失したということは、いったん相続人の所有になったといえるが、建物が滅失することによって、その建物に存する所有権その他の権利はすべて消滅し、その建物の登記は無効になるので、相続による所有権の移転の登記を行わず、相続人から滅失の登記を申請できるとされている。

 

オ 〇

区分建物の属する一棟の建物の全部が滅失した場合は、当該一棟の建物に属する区分建物のうち、いずれか1個の区分建物の表題部所有者又は所有権の登記名義人から、当該一棟の建物の滅失の登記を申請するのみで足りるものとされている。