ここでは、防火管理、防災管理、建物の区分などについて説明いたします。
防火管理とは、火災の発生を防止し、万一火災が発生した場合には被害を最小限度に止めるために必要な対策をたてることです。そのため、建物のオーナーやテナントの管理者は、防火についての推進役として防火管理者を選任し、普段から、それぞれの役割や火災発生時の分担を消防計画に定めておく必要があります。
もちろん、建物のオーナーやテナントの管理者自身が防火管理者になってもかまいません。
防災管理とは、大規模な建物で、火災以外の地震や特殊な災害も視野に入れ作成するもので、防火管理と同様に建物のオーナーやテナントが推進役として防災管理者を選任し、普段から、それぞれの役割や震災発生時に担当を消防計画に定めておくことです。
統括防火管理とは、建物のオーナーや管理者が複数存在する対象物について、一体的な防火管理体制を確保するために定められた制度です。
雑居ビルなどでは、各々のテナントで「防火管理者」を選任して防火管理を実施する一方、建物全体を統括して防火管理業務を行う「統括防火管理者」を定め、防火管理の役割分担と責任の所在を明確にしました。
防火対象物とは、山林または舟車、船きょ(ドックのこと)若しくはふ頭に繋留された船舶、建築物その他の工作物若しくはこれらに属するもの。と定められております。
わかりやすく言えば、ざっくりと土地の上に建っている工作物や建物と思ってもらってさしつかえありません。
特定防火対象物とは、防火対象物の中でも、デパートや劇場など、不特定多数の者が出入りする建物で、火災が発生した場合に、より人命が危険にさらされたり、延焼が拡大する恐れの大きいものをいいます。
防火対象物の区分 | |||
区 分 | 用 途 | 特定・非特定 | |
1項 | イ | 劇場、映画館、演芸場、又は観覧場等 | 特定防火対象物 |
ロ | 公会堂、集会場等 | ||
2項 | イ | キャバレー、カフェ、ナイトクラブ等 | |
ロ | 遊技場、ダンスホール等 | ||
ハ | 性風俗営業店舗等 | ||
二 | カラオケボックス、インターネットカフェ、マンガ喫茶等 | ||
3項 | イ | 待合、料理店等 | |
ロ | 飲食店等 | ||
4項 | 百貨店、マーケット、店舗、展示場等 | ||
5項 | イ | 旅館、ホテル、宿泊所等 | |
ロ | 寄宿舎、下宿、共同住宅等 | 非特定防火対象物 | |
6項 | イ | 病院、診療所、助産所等 | 特定防火対象物 |
ロ | 老人短期入所施設、有料老人ホーム(要介護)など | ||
ハ | 有料老人ホーム(要介護を除く)、保育所など | ||
ニ | 幼稚園、特別支援学校 | ||
7項 | 小、中、高、大学、専修学校等 | 非特定防火対象物 | |
8項 | 図書館、博物館、美術館等 | ||
9項 | イ | 蒸気、熱気浴場等 | 特定防火対象物 |
ロ | イ以外の公衆浴場等 | 非特定防火対象物 | |
10項 | 車両の停車場、船舶、航空機の発着場等 | ||
11項 | 神社、寺院、教会等 | ||
12項 | イ | 工場、作業場等 | |
ロ | 映画スタジオ、テレビスタジオ等 | ||
13項 | イ | 自動車車庫、駐車場等 | |
ロ | 格納庫 | ||
14項 | 倉庫 | ||
15項 | 前各項に該当しない事業所 | ||
16項 (※1) |
イ | 特定用途部分を有する複合用途防火対象物 | 特定防火対象物 |
ロ | イ以外の複合用途防火対象物 | 非特定防火対象物 | |
16の2項 | 地下街(※2) | 特定防火対象物 | |
16の3項 | 準地下街(※3) | ||
17項 | 重要文化財等 | 非特定防火対象物 |
表の中で、色の付いている用途は特定防火対象物に指定されており、消防設備の設置基準が厳しくなっています。
※1 複合用途防火対象物
表の1項から15項までの用途のうち、異なる2以上の用途を含む防火対象物いわゆる「雑居ビル」のことです。
※2 地下街
地下の工作物内に設けられた店舗、事務所その他これらに類する施設で、連続して地下道に面して設けられたものと、その地下道を合わせたもの。
※3 準地下街
建築物の地階(ただし、特定用途の場合に限る)が複数連続して地下道に面して設けられているのもと、その地下道を併せたもの。
管理権原者とは、防火対象物の「管理について権原を有する者」で所有者、管理者、占有者をいいます。つまり、建物のオーナー、借りているテナントなどです。